InterviewAsami Tsubota
「ファッション誌は女性を育てる読み物なんです」
という思いで雑誌つくりに携わる坪田さん。大学卒業後に出版社勤務を経て、現在はフリーランスのエディター・ライターとして活躍する坪田さん。「Marisol」「éclat」「BAILA」のファッション誌をはじめ、広告、カタログなどのディレクション、ブランドとのコラボ製品製作など、様々なフィールドで活躍する敏腕エディターとして業界内外で人気を博しています。
そんな彼女がファッションエディターを目指したのは小学4年生のとき。今は無き伝説的なティーン向けのファッション誌「mcSister」の誌面を見た瞬間、彼女は将来、ファッション誌に携わりたいと決めていたといいます。その熱意が高じて、まだエディターという職種も知らないときに編集部で何かしたいと手紙を送ったこともあったそうです。
そうした子供の頃の夢を実現させた坪田さんが誌面をつくるときに心がけているのは、単にオシャレ、カワイイといった表面的な部分だけではありません。「ファッション誌は女性を育てる読み物なんです」と考える彼女は、ページを通して個々の雑誌が目指す女性像を表現したいと言います。「mcSister」に憧れて育った、その思いを今自分が形にしているのです。
人生に影響を与える、記憶に残る素敵な一瞬を届ける。そんな思いを大切にしながら、彼女はファッションエディターとしてファッションの魅力を伝えています。
1.女性像を届ける
Make up Rule
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「ファッション誌って本来モノやコーディネートの情報だけでなく、理想とする女性像や生き方、価値観までを届ける媒体だと思います。見てくれた人がこういう女性になりたいといった憧れを抱けるように。かくいう私も雑誌からなりたい女性像を見つけた一人。
小学生の頃に見た「mcSister」が私にとってのそれ。そして今もあの頃見たビジュアルを鮮明に覚えています。パリの街で屋根の上に座っているモデルの川原亜矢子さんを撮った写真。その写真に表現されていたのは、何者にも縛られず、自分のために自由におしゃれをしてパリで生きる女の子の姿。なんて素敵なんだろう!って、毎日穴が空くほど眺めていました。
そうして得た感動はモノ以上に女性の生き方に影響を与えます。だからこそ私もページをつくるときは、何処で、誰を、何を、どのように撮るかについてスタッフと打ち合わせを重ね、大量の写真から一枚を選ぶ時もそうしたことを意識しています。人の記憶に残る、素敵な一瞬を読者に届けたいと思っています」
2.裏テーマを持つ
Make up Rule
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「ページをつくるときに個人的にですが、自分中で裏テーマを持つようにしています。例えば先日撮影したウエディングドレスの企画。ウエディングドレスって女性にとっての幸せの象徴としてばかり取り上げられがちですが、私は美しさや嬉しさだけではないと思っています。
結婚式を迎えるまでは、結婚に至るまでの恋愛の悩みや家族から離れる寂しさ、ときには将来への不安といった様々な思いが女性にはあるはず。そんな中、晴れ舞台に立った時に女性が見せる安堵感やふと見せる無防備な表情を切り取ってみたいと思ったんです。美しいドレスを着こなす花嫁に垣間見られる人柄や神聖な思い、新郎とともに生きていくという強い決意までも表現できたら素敵だなと。
こうした自分の中での裏テーマを忍ばせることで、企画にも自然と深みが生まれるのではないかと思っています。雑誌というのは一ヶ月で消えてしまうものですが、誰かの心に残るページが作れたら嬉しいですね」
3.足元は目立たせない
Make up Rule
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「私がいつも着ているのはシャツやデニム、ワンピースといったベーシックな服。そして奇をてらわない気負いのないスタイルが好きです。旬なものをポイントに取り入れながらも、ずっと付き合える普通のものを、自分らしく、目立ちすぎず着こなしたい。だから足元もシンプルなものが好きです。
特にスニーカーはスポーティな印象になりがちなので、定番的なデザインを選ぶようにしています。今日のパトリックのシューズもまさにそう。ミニマルなデザインで、スマートなつくりだから、ベーシックだけど品がありますよね。とても重宝しています。
普通の服と合う、普通の靴。何と合わせても、自然とマッチするいい意味での普通。個性的ではないけれど、私にとって足元は目立ちすぎないことが理想的です」
4.スニーカーのサイズはワンサイズ大きめ
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「私の場合、身長に対し足が少し小さいということもあるのですが、ちょっとした着こなしのテクニックとして、スニーカーはワンサイズ大きめを選ぶようにしています。個人的にその方がバランスよく見えるんですよね。特にワイドパンツや、マキシスカートを履いたときは、足がちゃんと裾から出て見えないとカッコ悪い感じになってしまうので。
DRESS/BLUEBIRD BOULEVARD
SUNGLASSES/BLANC..
RIDERS/S.W.O.R.D
SILVER BAMGLE/Tiffany
PLASTIC BANGLE/TOMORROWLAND
RING/Tiffany
EARRINGS/MARIHA
服でもジャストサイズや、オーバーサイズなど、様々な着こなしがありますよね。それと同じように、スニーカーのサイズ選びも着こなしのひとつ。足元のバランスが悪い方は、スニーカー限定になりますが、ジャストサイズにこだわらず、ちょっとサイズを変えてみるのもオススメです」
5.同じ靴を買い足す
Make up Rule
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「気に入った靴は、同じものを何年かに一度買い足しています。自分の好きなものだから、それが自分にずっと馴染んでいて欲しくて。だからあくまで買い直しではなく買い足します。靴も履き潰しちゃうほどは履かずに、買い足したものとローテーションでいい感じをキープするようにしています。
理想はおばあちゃんになっても好きなものが似合っていること。年齢によって同じものでも着こなしって少しずつ違ってきますよね。そのためにも好きなものや足に合うものは、同じものを買い足して、履いて、色々試して、そして、年齢を重ねた時に好きな靴がちゃんと履けていたらいいなと思っています。
好きなモノがずっと似合う自分でいたい。買い足すときは、次はこんな風に合わせようと考えたりして、新鮮な気持ちでワクワクするんです
6.ご機嫌になれる靴
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「靴ってデザインだけでなく機能も大事だと思います。女性は足が痛くなると一日ずっとご機嫌ナナメになること必至ですから。昔は可愛いデザインを優先して、痛いのを我慢して履いていたこともありましたが、血だらけの靴を見てからはもう無理って…(笑)。
ちゃんと自分の足にフィットするものを選ぶことが、当たり前ですけどやはり大切ですよね。それによって気持ちが前向きにもなりますし。普段の帰り道にちょっと寄り道をしたくなったり、血流もよくなって頭もスッキリとしたり。
こうして考えると靴って女性の機嫌を左右する大事な要素。だから私は足と一体感のある靴が好きだし、今日も明日もご機嫌になれる靴を履いて出かけたいと思います。
靴をメークアップすること。それは思いのほか人を前向きに導いてくれる手段なのかもしれませんね」
Profile
坪田あさみさん/ファッションエディター
出版社勤務を経てフリーランスのエディター・ライターとして活躍。現在「Marisol」「éclat」「BAILA」などのファッション誌や、広告、カタログ、ブランドとの協業による商品のディレクションを手がける。またインテリア雑貨のコーディネート提案や、スタイリングイベントやトークショーなどにも出演。ご主人がオーナーを務める逗子のカフェ&ダイナー「サンダウナー 東京オムレツ」も絶賛オープン中です。
instagram@asamit1201
#私のメークアップルール
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