【クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー】対談企画 - 赤崎シェフ


至極のスイーツが多数ラインナップ。舵を取るのは、日本を代表するパティシエ、赤崎哲朗シェフ。昨年9月にオープンした「Philo&Co.(フィロ アンド カンパニー)」に伺ってきました。

大人の男だって気分が上がるスイーツ!店内では生菓子や焼き菓子をはじめとするスイーツに加え、クロワッサンやブリオッシュなどのヴィエノワズリ-も提供されています。そして、イートインスペースもあるので、開放的な店内でお好みのスイーツを堪能することができます。

Philo&Co.
フィロ アンド カンパニー

大阪市福島区福島4丁目1-77

公式サイトはこちらから


interviewer_Hirofumi Ueno
Photo_Motoi Matsuhiro


製菓の世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」に出場されたパティシエの方々にインタビューをさせていただくというこの企画ですが、今回は2013年日本代表のチームリーダーとして出場し、世界2位を受賞された赤崎シェフにお話を伺いました。

京都、名古屋、大阪と有名ホテルで経験を積み、さまざまなコンクールで受賞された実績をお持ちです。
そして、2021年に大阪市福島区に新店「フィロ アンド カンパニー」をオープンされました。


元々は父親が料理人で同じ道を目指していた赤崎シェフですが、幼少期から絵を描くことや物を工作することが得意だったことから、高校3年生の夏頃にパティシエを目指すことに方向転換されました。



ーコンクールに興味が沸いたきっかけは?



赤崎:27歳頃に名古屋で働くことになり、クープ・デュ・モンドに出場されていた松島義典シェフに出会いました。特にコンクールに興味がなかったのに、松島シェフの作品には目が止まるんですよ。ただ、その理由はわからなかった。とにかく松島シェフの仕事に対する向き合い方が、僕を惹きつける。コンクールに興味が出たのはそこからです。



ー松島シェフのもとで働くことになり、そこからクープ・デュ・モンドを目指すことに?



赤崎:ちょうど、松島シェフが出場されたクープ・デュ・モンドの予選が始まる前くらいに僕が入社しました。ちなみにその時は、趣味のスノーボードで肋骨が折れていて、弱音をいうこともできないので、歯を食いしばりながら働いていました(笑) そこでシェフが大会の準備をされているのを目の当たりにするわけです。生でみること自体が初めてでした。そういった中で、ある時「赤崎くん、そろそろコンクールに出ろ」と言われました。経験もなかったのでまずは、基礎的なマジパン細工から始めることになりました。それが27歳の頃で、そこから毎年コンクールに挑戦するようになりました。その集大成が10年後の「クープ・デュ・モンド」になりますが、その頃には、日本で3度チャンピオンになっていました。 目標を定めて努力してきたタイプではなく、一つ一つ課題だったり目の前のことをクリアして、気がついたら目の前に世界の舞台「クープ・デュ・モンド」があったんです。 いろいろな世界大会がありますが、もう最後の挑戦、最後のコンクールと思うと、なんでも良いわけではない。歴史やその価値についてよく理解している「クープ・デュ・モンド」を目指しました。



ークープ・デュ・モンド出場時の印象は?



赤崎:赤崎:実際始まったらトラブルばっかり。歴代の選手たちもおそらくあるんじゃないでしょうか。このネタは朝まで話せますよ(笑) ただ、その頃の僕は経験も積んで、なにがあっても動じないくらいものが出来上がっていました。なので、普段の環境とは違うけれど、やっていることは“作る”ことで、いつも通り。10時間の自分たちの任務をどんな環境であろうともやりきる。それだけで頭がいっぱい。緊張している暇もなく、瞬間瞬間でベストなことを判断して、前に進んでいく。その精神は出来上がっていました。



ー2021年に「Philo&Co.」をオープン。どんな思いが込められていますか?



赤崎:「Philo」はフィロソフィーからの切り取りで、哲学の哲。私の祖父が、哲学に長けた人間になりなさいと付けてくれた名前の一文字です。Co.は私の大事な仲間たちで、「僕と愉快な仲間たち」を意味します。 これまで、たくさんの人に支えられて、導かれて、クープ・デュ・モンドの舞台にも立つことができました。その後もたくさんの大きな仕事を任させていただきました。伊勢志摩サミットもその一つです。元々は各大会で勝てるような人間ではなかったけれど、周りの方々の導きで少しずつ強くなってきました。自分は、自分自身で作れるものではなく、たくさんの先輩方の導きでつくられました。そうやって作られた物が僕の哲学になっています。僕はたくさんの仲間たちが作った農産物みたいなものです(笑)

今まで僕を育ててくれた両親をはじめ、パティシエの上司、スタッフもそうだし、仲間、みんな引っくるめて、ここがみんなで作った赤崎哲朗の世界です。今までの歴史も含めて、これからも僕はたくさんの人と関わってまだまだ成長していく。そういったものを表現して社会と繋がる場所にしたいと思います。


「スタッフとは家族のような距離感で付き合っている」というシェフの言葉通り、納得のいく写真を撮ることができました。



ー赤崎シェフ自身がさまざまなコンクールに参加されてきましたが、スタッフにコンクールに挑戦してもらいたい気持ちはありますか?



赤崎:本人の意志を尊重します。やりたいスタッフがいるのであれば、応援するし、そのためにお店の場所を使うことも100%可能です。そういうことに興味を持つスタッフが出てきたらいいかなとは思います。まだオープンして1年ちょっとのお店ですが、本人たちにもそういう話はしていて、やりたいなら協力はします。僕がしてきた経験は間違いなく勝負の場で役に立つと思うよ、と話はしています。



ーPATRICKの印象は?



赤崎:履き心地がいい!いつも履いている「VALLETTAII(ヴァレッタ)が気持ちよくて愛用しています。今日は「GSTAD(グスタード)」を履いてきました。


インタビューを終えたあとは「Philo&Co.」で一番人気のシャンティフレーズをいただきました。オープンキッチンで一点一点、手作業で行われる盛り付けに目が釘付けになり、もちろん、さすが!と、舌も存分に楽しませてくれるステキなお店でした。


赤崎シェフ、貴重なお話をありがとうございました。

 


PATRICK公式のメルマガ(無料)に登録して最新情報をお届けします。



※ドメイン拒否設定がなされている場合《@kamei-pro.co.jp》からのメールが受け取れるよう設定の変更をお願いいたします