BON VOYAGE
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ボンボヤージュ パトリックの歴史と文化

フローラン・ダバディさんが聞く
それぞれが出来る持続可能なこと
【行動編】

フローラン・ダバディ氏

それぞれが出来る持続可能なこと 1. 自分たちが出来る持続可能なこと

スポーツキャスターをはじめ、多方面で活躍しているフローラン・ダバディさんをお招きし、フランス文化や日本文化に触れ合う旅へご案内する「BON VOYAGE」。今回はダバディさんとデザイナーの伊澤良樹さんにお互いが思う持続可能なことについての対談【行動編】をお届けします。

前編【解釈編】はこちらから

フローラン・ダバディ氏

ダバディさん:伊澤さんは実際に今行動に起こしていることはありますか?

伊澤さん:僕はデザイナーだからデザインを通して発信したいと思っています。

ダバディさん:今回デザインに関わったパトリックのシューズはその一環ですか?

伊澤さん:まさにそうですね。ダバディさんが持っているシューズが森の靴というモデルになります。

フローラン・ダバディ氏

ダバディさん:森の靴は見た目からしてポップで軽快なデザインですね。アイディアはどのようなものを採用されたのですか?

フローラン・ダバディ氏

伊澤さん:森の靴は熊本県の小国町森林組合とのコラボレーションになっていて、小国町の森をイメージしています。テキスタイルのアイディアは小国町の西里という地域にバックミンスター・フラーの思想を受け継いだ木造フラードームの廃校の小学校があります。その建物からインスパイアされた形状に森のカモフラ柄をデザインしました。

ダバディさん:カモフラ柄は自然を連想しやすいからコンセプトにピッタリですね。しかもファッション的にも今年のトレンドだから流行りそうですし。特にいいなと思ったのはオレンジのポップな色使い。ミリタリーテイストが基本のカモフラ柄がポップなカラーを取り入れることでそれを感じさせないですね。

伊澤さん:ありがとうございます。実はあのオレンジは「木こり」なんです。小国町の木こりはオンレジの作業着を着ている方が多く森の中でも見つけやすいです。また森のカモフラ柄は木こりの存在を入れることで、自然と人との共生を表現しています。

フローラン・ダバディ氏

ダバディさん:見た目もコンセプトもここまで柔らかく表現されたカモフラ柄ははじめて見ました。どこか履いているだけで癒される気がしますね。素材にはどのようなものを使われましたか?

伊澤さん:リサイクルしたポリエステルをアッパー素材に用いて、ニットアッパーに仕上げています。スリッポンタイプで履きやすく、都会ではコーディネートのアクセントに。森の中では脱ぎ履きの多いキャンプなどでも活躍します。あとグレーの配色は空気をイメージしていて、涼しい着用感で裸足で履くのもオススメですよ。

ダバディさん:実際に履いてみると足が呼吸しているみたいで本当に涼しいです。しかも履き口は柔らかくて足入れがとてもスムーズ。僕が今行動に起こしていることは、単純ですが移動に交通機関をなるべく使わないようにしていますね。このご時世ということもありますが、自転車や歩く機会を増やしています。この靴ならさらにそうした行動が増えそうです(笑)

それぞれが出来る持続可能なこと 2. プロダクトを通して伝えたいこと

フローラン・ダバディ氏

伊澤さん:嬉しいです。実は今回の企画は靴を媒体として自然と人間の共生について考えるきっかけになれば良いなと思っています。もちろんリサイクル素材を使ったりしているからエコではあるのですが、それだけでは大切な心を後世に残すことって難しいですよね。やっぱり人の気持ちを育むことがなにより大事だと思いました。

ダバディさん:そうですよね。持続可能なことって無理やりに取り組むものではないですから。単純なエコではなく、自分がどうしていくべきかという気持ちが大事ですよね。そうした一つ一つの思い、優しさが持続可能なこと自然と繋がっていくはずです。

フローラン・ダバディ氏

伊澤さん:おっしゃる通りかと。森の靴には他にも違うメッセージがあって。それは都市の中で唯一の自然って人間だと思うんです。だからこの靴を履いたときに自然の一部になったような感覚を持ってくれたらより嬉しいですね。また同様な思いで海の靴という企画にも携わらせていただきました。森と海は繋がっていることから、この二つを通して自然に意識を向けるキッカケになってくれたらデザイナー冥利に尽きますね。

ダバディ:とてもいい思いですね。環境は人それぞれ違っていて、自然災害に被災しないとわからないこともあったり。でも僕らみたいにフランス人でも日本人でもどこかでシェアできる思いがある。そうした気持ちや気付きをもっと発信し続けていけば、誰かと繋がっていくはず。持続可能なこととは決して個人問題ではないんです。繋がっていく力がきっとよりよい未来をつくる力になると信じています。

フローラン・ダバディ氏
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プロフィール

フローラン・ダバディ Florent Dabadie
1974年、パリ生まれ。フランス国立東洋言語文化学院で日本語を学び、渡日して映画雑誌『プレミア日本版』の編集に携わる。1998年〜2002年サッカー日本代表監督フィリップ・トルシエ氏の通訳・アシスタントを務め、現在はWOWWOWのテニス番組のナビゲーターやフランスサッカーリーグの解説といった幅広いフィールドで活躍中。

http://dabadie.tv/
https://www.instagram.com/florent_dabadie/

             
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プロフィール

伊澤良樹
クリエイティブディレクター / デザイナー
1978年東京都生まれ。コム デ ギャルソン、ウォルト・ディズニー・ジャパンのデザイナーを経て、2016年に拠点を阿蘇に移し東京と九州の2拠点で活動をスタート。地域や企業のブランドイメージの設計から運用に至るまでのトータルディレクションとデザインを手掛ける。主な仕事に東宝「ゴジラ」の海外国内向けブランド構築のクリエイティブディレクション、スタジオ地図10周年事業のクリエイティブディレクション、小国町森林組合のブランド戦略の企画・デザイン、阿蘇小国ジャージ牛乳パッケージデザインなど。