フローラン・ダバディさんが行く
フランス文化や日本文化に触れ合う旅
【イースト トーキョー散歩(前編)】
ボンボヤージュ パトリックの歴史と文化 1. BON VOYAGE
スポーツキャスターをはじめ、多方面で活躍しているフローラン・ダバディさんをお招きし、フランス文化や日本文化に触れ合う旅へご案内する「BON VOYAGE」。今回はダバディさんの“週末の過ごし方【イースト トーキョー散歩(前編)】”をお届けします。
週末は都会の喧騒を離れて、自然豊かな郊外で過ごすのが理想。とはいえ、毎週のように郊外に出かけるのは現実的には難しいもの。ダバディさんも土曜日に仕事がある週末は、都内でのんびり過ごすことも多いそう。そこで今回は、イースト トーキョーにあるダバディさん行きつけを巡る散歩コースをご紹介。気軽に遠出できなくなってしまった今、この記事が東京の魅力を改めて知るきっかけになったら嬉しいです。
ボンボヤージュ パトリックの歴史と文化 2. レトロでゆっくりとした時間が流れる下町が好き
日本に来日して25年。現在は住宅街に住んでいることもあり、日本を感じることが少なくなったというダバディさん。そんなときに、ふと訪れたくなるのがイースト トーキョー。東京スカイツリーを中心に広がるこのエリアは、下町の風情と文化が感じられるスポットが点在しています。さらに最近は近未来的なスポットやアートに関連するスポットも急増。そんな今注目のエリアにダバディさんが魅せられる理由とは?
「長年住んでいる東京には2つの顔があると思います。ひとつは渋谷や新宿などのすごく忙しくてエッジィな東京。もうひとつは、蔵前や人形町などの少し昭和でロマンチックな東京。どちらの東京も好きなのですが、後者に訪れるとどこか懐かしさを感じ、普段は忘れがちな来日当時の初心に戻れる気がするのです。このエリアに住んでいる方たちは昔気質で温かいし、なにより私好みのクラシックで美味しいレストランもたくさんある(笑)。だからイースト トーキョーは定期的に訪れたくなるんです」
ボンボヤージュ パトリックの歴史と文化 3. 09:00 週末の始まりは、DDD HOTELのカフェ&バーabnoから
イースト トーキョー巡りの拠点に最適なDDD HOTEL
蔵前をはじめとするイースト トーキョーに魅せられ、2年ほど前から開拓しているというダバディさん。まずは散歩中に偶然見つけたというDDD HOTELへ。ここはビジネスホテルをリノベーションして、2019年11月にシンプルモダンな空間に生まれ変わったライフスタイル系ホテル。”Live and let live”をコンセプトに、自立した個人個人が共存する都市生活のあり方を提案しています。
「DDD HOTELはデザインがすごくいいので、いつか泊まってみたいと思っていました。でも、東京に住んでいるのにホテルに泊まってゆっくりするという発想がなくて……。そうこうしているうちにパンデミックになってテレワークが普及。どこで仕事をしようかと考えたとき、真っ先に思い浮かべたのがこのホテルでした」
「実際に泊まって感じたのは、客室はさほど広くないものの利便性がきちんと考えられた作りになっていること。ミニマルかつスマートなインテリアでまとめられているのも私好みでした。客室をベッドルーム、仕事は2階のカフェという使い方もできて、オンとオフの切り替えがしやすかったのもよかったですね。朝は川沿いのランニングコースを走ったり、仕事の合間に近所を散歩したり。周りの環境も素晴らしいので、東京のホテルに泊まっているのにリフレッシュすることもできるんです。また、1階にアートギャラリーPARCELが併設しているのも、このホテルが好きな理由のひとつ。そもそもイースト トーキョーは国立西洋美術館や東京都現代美術館などが多く点在するエリアです。私は休日に美術館やギャラリーを巡るのも好きなので、アートを身近に感じられるDDD HOTELは理想的な場所。だから宿泊しなくてもふらっと立ち寄りたくなるのです」
「ホテルはきちんとした格好で訪れたいタイプですが、周辺を散歩することも考えると足元はスニーカーがマスト。そんなときにも頼りになるのがPATRICKのスニーカーです。歩きやすいのはもちろん、きちんと感もあるデザインなので、ジャケットスタイルなどとも相性がいいんです。私にとって、イースト トーキョーの街歩きにも欠かせない存在ですね」
DDD HOTEL
住所 / 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1
電話 / 03-3668-0840
URL / https://dddhotel.jp
ボンボヤージュ パトリックの歴史と文化 4. 12:00 ランチは大好きなブラッスリー ジョンティへ
フランス人も大絶賛! 絶品シュークルートが味わえる名店
ダバディさんは子供のころから無類の鍋料理好きで、中でも目がないというのがシュークルート。東京には家庭的なフランス料理を出す店は少なく、美味しいシュークルートは食べられないと思っていたときに出合ったのがジョンティです。フランス・アルザス地方の郷土料理が味わえるブラッスリーで、オープンした12年前から足繁く通っているといいます。オーナーの富田裕之さんとも親交が深く、アルザス話に花を咲かせるのもひとつの楽しみになっているそう。
フローラン・ダバディさん(以下、ダバディさん):家でもよく食べていたシュークルートは私にとって特別な料理。だからジョンティでシュークルートを食べたときに感動したんです。故郷を思い出す味だったので。
富田裕之さん(以下、富田さん):キャベツは塩だけで直発酵させていて、ソーセージもベーコンも手作り。アルザス地方に住んでいたときに教わったレシピをそのままメニューに反映しています。うちのシュークルートも結構量がありますが、本場は3倍くらいの量で提供されますよね。
ダバディさん:日曜日にご褒美的な感じで食べられている料理でもあり、フランスでは家族で食べる習慣もあるので量が多いんです。最近は残すのがもったいないということで量は少なくなりましたが、それでもジョンティに比べると量は多いかも(笑)。
富田さん:なるほど、だから量が多いんですね。
ダバディさん:ジョンティではシュークルートをマストで注文しますが、他にも魅力的なメニューが盛りだくさん。日本食材との調和も素晴らしいし、東京にいながらフランスの家庭料理を味わえるのは嬉しい限りです。近所に住んでいたら週一で通いたいくらい(笑)。
富田さん:フランス出身の方にそう言っていただけるのは光栄です。私はダバディさんの素敵な装いにいつも目を奪われます。ジャケットにスニーカーを合わせた今日のスタイルもおしゃれですね。
ダバディさん:ジョンティはビストロよりもカジュアルなブラッスリーですが、ある程度きちんとした格好で訪れたいと思っています。今日はジャケットを軸にした着こなしですが、PATRICKのスニーカーで適度にカジュアルダウンさせました。スニーカーでもラフになりすぎないレザー製で、かつクリーンな印象をプラスできるオールホワイトをセレクトしているのがポイントです。
ダバディさん:ところでアルザスはフランス有数の観光地ですが、富田さんはどんなところに惹かれたのですか?
富田さん:アルザスはとにかく料理とワインが美味しい! 大衆的なお店はもちろん、星付きのお店も多いですよね。
ダバディさん:フランス人の私からしてもアルザスの料理は本当に美味しいです。パティシエの方もたくさんいて、アルザスで修行してからパリに店を出す人も多いんですよ。また、フランス三大山脈のひとつであるヴォージュ山脈もあり、夏でも涼しくて過ごしやすい。だからバカンス先としても人気なんです。
富田さん:自然も豊かだし、建物の色使いも可愛らしいですよね。花が綺麗に飾られているのも印象的でした。
ダバディさん:確かアルザスには、花を綺麗に飾らないといけない法律があったと思います。私もフランス全土をまわったわけではないですが、ブルゴーニュやボルドーなどに比べると空がすごく近い。神秘的な場所という印象があります。
富田さん:アルザスの人たちは日本人より真面目ですよね。時間もきちんと守るし。
ダバディさん:それにはいろいろと理由があります。そのひとつが、キリスト教とプロテスタントという2つの宗教が共存している地域であること。中でもドイツ系のプロテスタントが多く、それはフランスでは珍しいのです。同じフランス人でもラテン系が多いパリと違ってプロテスタントの人たちは保守的で寡黙なところがありますが、一度心を許したらすごく優しいんですよね。
富田さん:それは感じました。優しくて温かい人たちが多いですよね。それにしてもダバディさんとのアルザス話は本当に楽しいし、勉強にもなります。
ダバディさん:また近々伺うので、そのときに続きを話しましょう(笑)。
Gentil
住所 / 東京都台東区浅草橋2-5-3
電話 / 03-5829-9971
営業時間 / 11:30〜14:30(L.O.14:00) 18:00〜22:30(L.O.21:30)
土日祝 / 12:00〜15:00(L.O.14:30) 18:00〜22:30(L.O.21:30)
定休日 / 水曜、第3火曜
URL / http://b-gentil.com
プロフィール
1974年、パリ生まれ。フランス国立東洋言語文化学院で日本語を学び、渡日して映画雑誌『プレミア日本版』の編集に携わる。1998年〜2002年サッカー日本代表監督フィリップ・トルシエ氏の通訳・アシスタントを務め、現在はWOWWOWのテニス番組のナビゲーターやフランスサッカーリーグの解説といった幅広いフィールドで活躍中。